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Posted by 京つう運営事務局 at

2012年07月01日

白沙村荘のこれから

シトシトと雨がふる日曜日。今日は特別解説付きの庭園御案内が5名訪れました。
この案内の試みは来年から予定している白沙村荘の一般公開を、申込み制に移行するテストとして行なっているものです。

今までは随時開けていて、受付に来れば見学が出来た状態でしたがこの在り方を少し見なおそうという事なのです。



理由は幾つかありますが、まず一番大きな理由としては保存が主題となるこういった文化財の中に、多くの人が入ることは好ましくないという事。これはマナーの悪い方の存在がどうしても排除できないので、「庭に入る」事自体を制限しなければいずれは大きな問題を引き起こすだろうという考えです。

実際に建具の破損や、最近では石造美術などに詳しくない方が灯籠を倒したり、または凝灰岩を削ったりというトラブルも起こりつつあります。





こういう話をしていると「じゃあ◯◯しないで下さいと、立て札でもしとかないと分からないだろう」という意見が出ます。
しかし「◯◯しないで下さい」と言わないといけないような人が、大事な場所に入ってしまう事自体が問題でもあります。
曰く「苔を踏まないで下さい」「庭石に座らないで下さい」「灯籠を押さないで下さい」「掛け雨戸を勝手に外さないで下さい」「結界をまたいで通行しないで下さい」「屏風を勝手に移動して裏に回らないで下さい」なんていう具合の注意書きがそこらかしこにある場所に美しさを誰が感じるのでしょうか。


白沙村荘がこれから向かうのは、やはり橋本関雪という文化人が造った「美的空間」を遺すという方向であり、保存維持のために人をボンボン入れ込んで小銭を稼ぐ施設に向かう訳ではないと考えています。




この10数年、訪れる人達と言葉を交わしつつ、または様子を眺めながら考えた結果・・やはり訪れる人全てが庭を歩くことは、庭自体の為にならないと結論が出ました。

全く閉ざしてしまうということは考えていませんが、来年の春を過ぎた頃から公開の形態は大きく変わることとなります。



改修も同時に進みつつ、庭の公開を制限しながらでも保存維持が十分に行えるよう。
この空間が多くの人達を魅了する、素晴らしい場所となるように色々と考えることやしなければいけないことは山積しています。






より良くなれば、実際にその状況を見れば反対していた皆も「なるほど」と頷いてくれる事でしょう。
まずは来年度、とある建物の完成を待って白沙村荘は大きく動きを変えていきます。


  


Posted by ハシモトシンジ at 14:04Comments(0)【勤務日誌】