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2013年10月25日

瑞米山 月心寺、大津大谷 走井について



少し前に大津の月心寺を任せていた村瀬明道尼が再度の交通事故に逢い、そのまま大津には帰らず関東で没することとなりました。
明道尼は39歳の頃にも交通事故に遭っていて、その折に右半身が不自由となったので橋本家先代の歸一が生涯面倒を見るという約束をして住職となりました。

不自由な身体をおして作る精進料理や、力強く書かれた書などが人々の人気を集め「ほんまもんの庵主さん」としてよく知られていました。
ここしばらくの間、懇意にされていた方々から「庵主さんはどうされているか」との問い合わせが色々とあったのでここにも書いておこうかと思う次第です。
2013年7月に村瀬明道尼は千葉県で逝去されました。日付が曖昧なのは、亡くなった事の知らせがあったのが9月に入ってからであったからという事で正確な情報が入ってきていないからです。四十九日から逆算すると7月19日だと思うのですが。

そういう事もあるので、ちょっとだけ月心寺の事について書いておこうかと思います。

まずは月心寺開山、村上獨譚和尚。
 


この人物が橋本関雪と出会った事から月心寺の歴史は始まります。
元は嵯峨天龍寺の慈済院という塔頭に居た方で、その方面では非常に良く知られた僧であったということです。

※参考までに花園の思い出:山田無文老師第10回歴史に学ぶ人間経営学などにその名前が出ています。

和尚は第二次世界大戦において、従軍し戦没者のお弔いをするために大陸に渡っていました。
そこで捕虜として捕らえられ、しばらくは過酷な環境で過ごされたということです。
捕まった際に弟子を命がけで逃し、自分を囮にしたということですがその弟子が帰国し「あれではもう助かりますまい・・」と伝えたことから、天龍寺ではすっかり亡き者になったと思われ弔われていたようです。


それがある日ひょっこりと帰って来られました。
皆さん幽霊でも見るかのような気持ちであったことでしょう。嬉しいやら驚くやら。
ところが慈済院には既に稲葉心田和尚が代わりに入られていたので、獨譚老師は戻る場所をしばらく思案します。
そして橋本関雪がその頃には既に亡くなっている事を知ります。

出立の直前、生前の関雪に妻の墓所を寺院にするから面倒を見るようにと言われていた事を思い出し「断るつもりであったが、亡くなった方との約束を反故には出来ない」と月心寺に入られる事になったそうです。天龍寺は歴史のある本山。月心寺は元の歴史は古くとも、寺院としては個人所有の単立寺院ですから格が違いすぎるので無理もない事ですが、奇縁が両者を結びつけたのでしょう。


そういう経緯で住職となった村上獨譚和尚の元に、一人の尼僧がやって来ます。
それが村瀬明道尼です。



八幡の水月寺や大徳寺にも一時は典座として入っていた明道尼は、料理が得意で当時街道沿いの宿坊的に機能していた月心寺を訪れる来客に椀や焚き物を振舞っていたそうです。その中に白洲正子さんも居て、そこから後に「ほんまもんの精進料理を作る尼さん」として知られる彼女の名声が広がっていきました。湯木貞一さんのエピソードが広く語られますが、本来はこの白洲正子さんが始まりのはずなのですよね。エピソード自体も煮しめの人参を褒めた話から、知らない間に胡麻豆腐を褒めた話に変わっています。よっぽど胡麻豆腐に執着している人がいるのでしょう。

そうこうしている内に先に話した通り明道尼が事故に遭い、そして獨譚老師が亡くなりという事が起こり月心寺の二世として一昨年まで務めを続けてくれていました。



生前の明道尼と父に間に、私が将来僧籍を取って月心寺の住職となるという事が約束として交わされていました。
その為に小さな頃から何度か比叡山や永源寺に訪れて、作務や僧堂での事を色々覚えていました。
しかしどの僧堂で籍を取ろうかという段になって、実家の方から呼び戻されてしまいついに僧籍を取り損ねたまま現在に至ります。

かと言って約束は反故には出来ないので、僧籍を持った方の後見を受けながら、月心寺の三世として関雪夫妻と一族のお弔いをしつつ、今後の月心寺を文化財として遺していくための事業を準備しています。確かに寺院とはなりましたが、ここもまた橋本関雪の遺した文化遺産の一つですから、在るべき形でより良い状態に戻しつつ今後も保存維持を行いたいと考えています。東海道の水場として、歌仙を祀る場所として、大津絵の関係施設として今後も変わらず残したいと考えています。



以前の月心寺を知る方も、今から知る方も皆様の今後ますますのご協力やご理解を頂きたいと思います。
なにとぞよろしくお願い申し上げます。


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