京つう

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2012年08月11日

庭に遺された美意識




白沙村荘には大小いくつかの池が配されています。
一つは芙蓉池(フヨウチ)と呼ばれる大きな池。もう一つは瑞月池(ズイゲッチ)と名付けられた、茶室前の池。こちらには月が映り込みます。
そして最後に浄土池(ジョウドチ)という名の池。

池があることは別段珍しくないので、来館の方たちも普通に綺麗だねとか言いながら見ていると思うのですが、庭園の眺望における池というものは非常に重要な役割を果たしています。



まずは光の問題。水面にあたった陽光は大半が反射され、様々な角度で照り返します。
この照り返しは強烈なものではないのですが、周囲の木々や石造美術の輪郭を鮮やかに浮かび上がらせます。

そしてその輪郭がまた、水面に映し出されて美しく見える・・という原理です。
芙蓉池においては大画室 存古楼と松並木がそれぞれの対岸から映り、瑞月池においては如舫亭、そして倚翠亭と憩寂庵がそれぞれ映ります。浄土池は藪の羅漢と持仏堂が映るように計算されています。


この映り込みが一番重要なのは実は橋だったりします。

例えば橋が半円のアーチ状であったとすると、水面に写り込んだ姿と上にある橋が綺麗な円を描くように見えます。
橋は渡るための構造物であると同時に、離れて見た際にはその眺望の中にある一つのアクセントとして機能する事も前提として設計されています。



別段橋が架かっているからといって、そこに人が渡っている必要もなく眺めていると僅かな時間の間に鳥たちのドラマティックな生態が繰り広げられていることも多く見られます。

特にオススメはカワセミの狩りでしょうか。


橋の上に飛来したかと思うと、水中めがけて急降下すぐさま獲物をくわえて戻ってきます。
そして、くわえられた哀れな小魚を石橋めがけてビターン! ビターン!と叩きつけるのです。
光景自体はある意味酷いものなのですが、カワセミの色の美しさにおもわず見とれてしまいます。





そんな池も写真のようになるまでに、やはり8年近くの時間がかかっています。
当初は水の入れ替えが上手くいかずに少し濁ったり、藻類の発生に悩まされたりしていましたが水中ポンプを活用してなんとか周囲の景色が映り込むまでに回復してくれました。

あとは浚渫や、生態系の回復などの課題が多く残っていますが、建物の改修と庭園の復元が最優先課題なのでどうしても後回しになりそうです。こういう個人管理の庭は資金不足がついて回ることながら、やはり難儀なことと言えます。


それでもまぁ、事業が進むにつれて辛さよりも嬉しさが増すのでしょう。多分。
出来ればこれらの事業のために、現在行なっている「特別解説付き案内」に多くの方が来ていただければ嬉しいのですが。


私、橋本眞次が入口から出口まで御説明と御案内をしています。入館料+αのαは改修・復元の御志納という事です。
通常非公開の持仏堂開帳ももれなく行なっておりますので、いつでもお申し込み下さい。



気がつけば宣伝になっている訳ですが、本当に池の存在というのは大事なのです。
来年からは部分的に浚渫をして、ホタルの復活に励みたいと考えています。

またその時にはお知らせを致しますね。









Posted by ハシモトシンジ at 01:08│Comments(0)
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