京つう

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2009年06月03日

杜甫と関雪

先日の姫路でのお話を考えるにあたり、内容について色々と悩んだ。


というのも、先んじて様々な先生方がお話をされていたから。

作品の解説や、関雪についての話などは当然そこでも行われているはず。



重ねて同じような話をするのもいかがかと考えたあげくに、お茶を濁すような内容となった。

今考えれば、人を避けて上手く話が出来るほど巧者でもなかろうと自嘲するばかりだが、そこに至れなかったのは未熟さか。


結果としては、関雪の制作を撮影したビデオを流した後半のみが、関雪展に付帯する流れとしては意義のあることだったと思う。




そういった自省はさておき、今回の話は最初「関雪作品と漢詩」が設定テーマであり、題材を漢詩に得ていない作品に関しても関連を探った。


その中で杜甫の「登高」が、「霜猿」という作品にインスピレーションを与えている可能性に触れた。

今まで考えもしていなかった内容だった。



動物画に寓意を込めたり、擬人化したりは理解していたが、それに漢詩世界が折り込まれている可能性には目が行かなかった。


すでに感づいていた方もいらしたかもしれないが、これは新鮮な発見でした。

よくよく考えれば関雪ならあって当然の話ですが、これもまた未熟ゆえの至らなさでしょうか。



ちなみに件の詩はこのような内容。

<登高(杜甫)>

風急に天高くして 猿の嘯なくこと哀し
渚清く沙白くして 鳥飛び廻る
無辺の落木 蕭蕭として下り
不尽の長江 滾滾として来る
万里悲秋 常に客となり
百年多病 独り台に登る
艱難苦だ恨む 繁霜の鬢
潦倒新たに停む 濁酒の杯



登高は重陽の節句に行われる長寿を願う行事で、高台に登り菊酒を飲むもの。

老境に至った杜甫の哀切を、関雪はいかに感じたのか。



そうであった根拠は今のところありませんが、「霜猿」を見るに「登高」を読み解くと合点が行くのです。


また違う作品にも同様のものが無いか、しばらく調べてみようかと思います。





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Posted by ハシモトシンジ at 02:04│Comments(0)【橋本関雪】
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