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Posted by 京つう運営事務局 at

2011年08月31日

三千本膠の危機

日本画を描くにあたって必要な材料という物は幾つかあり、厳密な定義の上においてはそれらを欠いてしまうことは非常に危うい問題です。


一つは基体となる和紙、そして絵絹。
もう一つは所謂岩絵の具などの顔料。
そして最後には定着材となる膠です。




和紙などは、日本画以外の生活にも深く浸透している素材なので、廃れては興りつつ生産が継続されています。


顔料は鉱物、化合物、染料などが存在しています。岩絵の具というのは、この中の鉱物顔料の事です。

厳密に言えば、これらも新旧入り混じりながら現代まで変化を続けながら来ています。



そして膠。これは牛や鹿、兎などの革を煮た物から作られる、有機ゼラチン質です。

化合物にも似た性質の物はありますが、元来の膠はやはり優れた部分が多く、日本画には欠かせないと言えます。




それが無くなると言います。

唯でさえ技法や精神性を失いつつある日本画なのに、素材までもが変わるのは・・非常に懸念するべき問題ではないでしょうか。


作画だけではなく、蒔絵にも仏像にもまた箔押しなどにも、そして文化財修復全般にも影響が起こる問題です。




国が関与して伝統的な方法で作った膠を提供できるようにしないと、個人や会社レベルでは中々賄いきれないでしょう。


日本の文化を保持し、後世に遺すという意味においてなんとかしないといけません。

膠だけに俄かには解決出来ないかもしれませんが。それでもなんとかしないと。  

Posted by ハシモトシンジ at 12:55Comments(1)【勤務日誌】

2011年08月24日

島田紳助の電撃引退について

島田紳助が黒い交際を理由に急遽引退を表明した件について、実はほとんどテレビも見ることがなく芸能界に詳しいわけでもない身としてはさほど驚いたりするわけでもありませんが、一個だけ気になっている事があります。


それは「なんでも鑑定団」の今後について。

決して好きな番組でもなく、むしろイラッとするケースのほうが多いのですが、だからこそ今後の動きが気になるわけで。



あの美術品を見るたびに「あぁ、こんなんこの前の鑑定団で出てたな」とか、「コレ鑑定団に出したら幾らくらいかな」とかいう発言を一般層に植えつけたという影響力は非常に大きなモノなので局的には編成から外す事もないでしょうね・・。

バックに美術倶楽部という画商さんの組合も貼りついてますしね。





出来れば終わって欲しい部類の番組でもありますが、美術品に興味を持って貰うという観点で言うと惜しい感じもします。要は観る人の意識なんですけどね。アレはバラエティ番組であると。そう認識すれば良いんですけど。

たまに「そんな馬鹿な」みたいな判定もあるけれど、それもまぁバラエティ番組であるからスルーしてもいいんじゃないかと思うわけです。




美術とそういう付き合いが出来れば一番よろしいんですけどね。  


Posted by ハシモトシンジ at 17:00Comments(0)【勤務日誌】

2011年08月20日

東北大学・ウィンドノーツの熱き奇跡

先日行われた鳥人間コンテスト2011にて東北大学のウィンドノーツが、非常にアツくなおかつ濃いぃ学生の活躍により盛り上がっています。


これが他のタイミング、他の地域ならばここまでの注目はされずに「ハハハハハ、元気だね」で済んでいる事もあろうかとは思いますが、なにせ東北・宮城の事。甲子園決勝戦共々全国が注目し、そして声援を向けるという内容の上で先述の通り濃いぃキャラが人気を博して大ブレイクしています。



個人的には大好きな部類のキャラなんですが、許容するにあたり個人差はあると思いますので閲覧時にはご注意を。

彼の背負った想い、チームメイトたちが託した想い。



そして被災地の方の想いをのせて飛び続けたウィンドノーツ。
なんかこういうのをもっとメディアが取り上げないとダメですよね。
組織的なアピールではなく、「俺たちに出来る事で東北を元気にするぜ」みたいな熱い情熱をもっと大事にしないといけませんよね。



彼らを超応援しています。







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Posted by ハシモトシンジ at 20:53Comments(0)【勤務日誌】

2011年08月13日

送り火マツ問題、再燃。

送り火に使用を決めたマツの表皮からセシウムが検出された事で、またまた論議が再燃しそうな感じとなっています。


新聞や各メディアでは「古都の権威失墜」だとか、「最初からやれば良い」とか結構好き放題言っています。まぁ確かにこの流れですと「最初のマツは大丈夫だったのに」という話にもなりそうなのですが、なんか腑に落ちない部分も多く残ります。





まずはマツを用意したNPO法人。「再び断念」の結果をもたらしたのは実は彼らですよね?

マツが京都入りしてから検査を受け、「放射性物質検出ならば使用は断念」の前提があるのなら、普通は持ってくる前に入念にチェックし舞台を整えるのが基本。しかも今回は結構大きな問題になっているので、十分注意が必要だったと思います。

なんというかワザとなのかとも思えるお粗末さ加減です。やっぱりワザとなのかな?





今回の一件は大文字保存会も、京都市も、被災地の方々も誰もスッキリしないという最悪の結末を迎えてしまいました。誰が悪いという話でもないはずなんですが、あえて言うなら過熱気味の報道が一番悪い気が。ちょっと煽り過ぎな感じもしますしね。

  


Posted by ハシモトシンジ at 09:29Comments(0)【勤務日誌】

2011年08月13日

迎えて送って




門前で迎え火を焚きました。麻殻を組んで燃やす・・というだけの行いながら、意識的には変わってしまいます。まずは虫が愛おしくなってくる。愛しいというか、脳内で擬人化されていくんですよね。

お精霊さんは虫に宿って現世に帰ってくるみたいな話を聞きながら育ってしまうと、やっぱり「そんな訳ぁ無い」とは言えなくなってしまうのですよね。羽虫一匹にも個性が創りだされてしまうわけです。



盆の頃に、祖霊を敬いつつ迎えの火を灯す。
ささやかながら非常に美しく、良い行事であると思います。
火が美しいのではなく、その姿が美しいのです。要するに祖先を大事にするというその気持がとても美しく感じるのです。




今年は先日からの岩手のマツ騒動で、ただでさえ大変な労の大文字保存会も更にご苦労様なのですが、祖霊や亡くなった人を想う気持ちは遍く変わるものではなく、非常に尊く美しいものであるはずなので過ぎた話はとりあえず置いといて皆で送り火を見届ければ良いと思います。

しかし・・ この話を仕掛けたという人物の事が一切出てこないのが気になります。
大分県の芸術家の人だとかいう話なんですけど。間に入って話をまとめるくらいやれば良いのに。



大文字保存会や他の五山の人々の常の苦労を知れば、イベント的にアレコレと絡むような真似をするはずはないので所謂「いっちょ噛み」で出てきた人なのでしょうか。何にせよ無責任な話です。




  


Posted by ハシモトシンジ at 00:03Comments(0)【勤務日誌】

2011年08月11日

光り輝く迷路のよう〜蜘蛛の巣




暖かくなるにつれて羽虫が次々と羽化して、庭じゅうを飛び交います。それに伴いまたハンター達が「よっしゃ行こかー」とばかりにお元気に毎日毎日、彼らの御飯を確保してくれる狩猟具の造営に勤しんでいます。


鬼蜘蛛、女郎蜘蛛、黄金蜘蛛・・ 様々なクモが木陰に、葉陰にそして軒先の照明に巣を張り巡らせては哀れな羽虫たちをチューチューとやるわけですね。





しかし、放ってもおけませんので、毎朝のように樹の枝を振りつつ「蜘蛛の巣払い」をやるのです。
お客様の顔にあたらぬように。目に障らぬように。エイヤァッ〜 トオッ〜 と振り回しつつ歩きます。


それは恰も、見えない何かと戦っているかのよう。
事情を知らない人が見たら可哀想に思って、思わず後ろから手を合わせて頂く感じの光景です。
「可哀想になぁ、ナマンダブナマンダブ (-人-) 」みたいな。






でも本当は壊したくないのです。
朝日に輝く蜘蛛の巣って実に綺麗なんですから。

雨上がりなら水珠を纏ってなおさら美しいのです。
でもそういう訳にもいかないので、くっつかないように縦糸だけを狙い今日も蜘蛛の巣を払い続けるのでした。
  


Posted by ハシモトシンジ at 17:11Comments(0)【勤務日誌】

2011年08月09日

思いも寄らない文化財被害

日々有形、無形の文化財を守る立場にあるものにとって非常に嫌なのが、外的要因による破損や焼損。

白沙村荘でも、おそらくそうであろうという原因で茶室が罹災し現在再建事業を行っていますが、自分たちで気をつければ完全に防げるというものでは無い場合は困るのです。
困るというか悲しいというか呆然と云うか・・もうなんと言うか。



今回は武者小路千家、いわゆる官休庵の土塀に車が突っ込んだとかでこれもなんだか悲しい話なのです。

新聞記事には「向かいの衣料品製造業の男性」とか書いてありますが、もう少しぼやかしてあげてよと思います。悪気があった話ではないですから、曖昧に「近所に住む男性」とか。余裕で特定できてしまうじゃないですか。


初釜のたびに「あぁ、ここやね。夏頃に車で突っ込まはったのは。」 「いや、ほんまどすか?」みたいにむごい会話がされるかと思うといたたまれません。



とりあえずはこの土塀が一刻も早く復旧する事を願います。
人のところの心配している場合ではないんですけどね。えぇ。


  


Posted by ハシモトシンジ at 16:37Comments(0)【勤務日誌】

2011年08月09日

今年の送り火と岩手のマツ

もうすぐ京都の山々に火が灯る「送り火」の日が来て、またぞろ市中はさぞかし賑わうのだろうかと思います。白沙村荘の前にも右大文字があり、毎日のように見ているので頭から大文字が消えることはあまりありません。それくらい存在感が大きい。


「アレ、大文字焼きの山ですよね」という人に、逐一「大文字焼きという行事も各地にあるのですが、京都では送り火と申しておりまして」と説明をするのですが結局は「へぇ、そうなんだ」という反応よりは「京都人は云々」となりやすいのがチョット嫌な点。

世間にある京都アレルギーみたいなものは以前から感じていましたが、正式な固有名称のあるものを紹介して「京都では”大文字焼き”と言われることを嫌がる」とか言われるのは異常かと思います。京都ではも何も、固有の名称なんですから。




大体そういう場合は「迎え火」の存在を知らない人達が「送り火」で無くても良いじゃないかと考えているのが多いのです。迎えるから、また送る。非常に明快な上にお盆の行事としては一般的な構造じゃないでしょうか。

もうすぐ銀閣寺前の参道では、各戸の門前で麻殻を焚いて祖霊やお精霊さんを呼び入れます。
お盆の時期というのは常世と現世の境界が俄に混じり合い、実に死者がそこに暮らすかのような存在感を以て現れ始めます。そして今度は山頂で火を焚き、山に集まった霊たちを天に送ります。これが「迎え火」と「送り火」のおおまかな流れ。もっと色々細かい内容はあるんですけどね。





その送り火の現場で今年は問題が起きているようで、岩手の被災地のマツを火床に使うか否かで非常に揉めたようです。理由は放射能不安。一応の検査ではセシウムは検出されていないとのことですが、最終的な問題はやはり送り火が宗教的行事であるということなんでしょう。

細かな点は当事者ではないので判断しかねますが、岩手の方たちの心情も理解できますし京都の送り火に携わる人々の心情もよく解ります。



今回の件は何が一番問題であったのかとか、そういう話は本当に当事者同士しか話せない事でもありますし、部外者があまり口を挟む問題ではないのでしょう。しかし送り火のことですから、ご先祖様が深く溜息をつかれるような事はないようにしたいものです。







  


Posted by ハシモトシンジ at 05:32Comments(0)【勤務日誌】

2011年08月04日

不許葷酒入山門




白沙村荘の入口に置かれている石柱。

大体の人はコレを見て「お! これなぁ、酒のんだら入るなっていう意味なんや。さっき酒呑んだからなぁ〜。兄ちゃん、入ったらあかんのか?」

「ハッハッハッハッ(お帰りはあちらのジェスチャーで)」



などという微笑ましいやりとりがあったりしますが、この「葷酒」の「葷」に誤解というか言葉の意味が通じていない事がしばしば見受けられます。

最近の説明では「ニラやニンニクの事」と短略されていますが、本来の「葷」は「五辛と肉類」なのです。五辛とは「ニラ、ニンニク、ラッキョウ、ネギ、ノビル」が基本形。時代や場所により若干の差異がありますが、要するに精のつく野菜類の事。



要するに肉や強精効果のある野菜類を食べたり、酒を飲んで心乱しているものは入るな。邪魔だから。
って話なんですね。ちなみに白沙村荘にはもう一個石柱が建てられていて、内容は「不許五辛酒肉入寺門」と記されています。

「五辛酒肉」=「葷酒」ですね。そして寺門。表記は違えど意味は同じです。



しかしこういうのを見ると、宗教的なものはさておき昔っから酒乱がいたのかな・・と思ってしまうのでした。迷惑な人は飲んでても、飲んでなくても迷惑なんですけどね。ハハハハハハハ。

  


Posted by ハシモトシンジ at 22:38Comments(0)

2011年08月04日

白沙村荘の白松



京都市緑化協会が発行している「今日のみどり」のコラム「歴史を語る京の木」に、白沙村荘の白松が紹介されています。




【白松(ハクショウ)】
中国の北西部が原産。中国では神聖な木とされ、王宮や墳墓、寺院などに植栽されています。樹皮は光沢のある淡灰色で、松葉が全て3葉なのが大きな特徴です。マツ科マツ属の常緑高木で、学名は Pinus bungeana。英名は Lacebark pine。


非常に珍しい松で、赤坂璃宮や藤森神社そして白峯神宮などに存在しているらしいのですが見たことはありません。




関雪が持ち帰った物は残念ながら枯死してしまい、伐採されましたがその子孫が脈々と育ち続けています。この松は未生が出ないので簡単には増えませんが、今ある小さな未生達が後に白沙村荘を代表する白松となります。

その頃には自分もおじいさんだなぁと考えつつ、我が子を見るかのような気持ちでチビ白松を見守っているのでした。




京都市緑化協会の皆様、取材ありがとうございました。




  


Posted by ハシモトシンジ at 17:59Comments(0)【白沙村荘】

2011年08月03日

赤壁賦屏風、緊急公開開始。

昨日の京都新聞夕刊に「関雪の屏風 白沙村荘で初公開 赤壁賦が題材」という記事が掲載されましたが、その直後から結構な数の問い合わせがありました。


朝からもメールやなんやで反応が・・。




なので、9日辺りに出すかぁと考えていたのですが、急遽本日から展示をすることになりました。
一応9月半ばくらいまでの展示と考えています。

皆様よろしく御覧下さいませ。
  


Posted by ハシモトシンジ at 17:18Comments(0)【勤務日誌】

2011年08月02日

仙台から赤壁賦屏風が登場、初公開@京都新聞記事



京都新聞【赤壁賦 被災の仙台から京に】


本日の京都新聞夕刊に橋本関雪の作品が白沙村荘にて公開の記事が出ました。
随分以前の本ブログで少し触れていた作品なのですが、今月の半ばまでに展示室での公開を予定しています。

せっかくなので京の夏の旅期間中、人の多い時期に出すのが良いかと思いまして。
そしてまたお盆の時期でもありますから追悼の意味も込めて。所有者の方は無事なんですけどね。
新聞記事を読んであらぬ誤解をされている方もいらっしゃるかも知れませんので蛇足ながら一応。




一応8月9日には出す予定です。今回の夏の旅では7月、8月、9月で屏風を連続展示しようかな〜と思っていまして。7月は第9回文展出品の「猟図」、で8月がこの「赤壁賦屏風」。9月は・・さて、どうしようか。まだ悩み中です。

京の夏の旅は始まってしまったら触りにくいので、こちらはこちらで楽しみましょうって話ですよ。
ただ人が来て毎日が終わるってのもつまらないですからね。精一杯悪ノリ致します。



  


Posted by ハシモトシンジ at 21:40Comments(0)【橋本関雪】

2011年08月01日

黎明教会資料研修館@左京区神楽岡




現在「京の夏の旅」というのが行われているわけですが、北白川伊織町にある「駒井家住宅」と銀閣寺前の「白沙村荘 橋本関雪記念館」は結構最寄りなんですけど他が若干遠い。

一番近くが南禅寺大寧軒でしたっけ?
確かに京都駅に向かうのには最適ルートなのかも知れないのですが、せっかくですからコースとは関係ない密かなスポットを訪れてみませんか。



場所は白沙村荘 橋本関雪記念館から西に向かった神楽岡。丁度吉田山荘に向かう途中にあります。
現状あまり知られていない気もしますがそこに「黎明教会資料研修館」があります。
黎明教会というと岡田茂吉さんの系統ですよね。

ちなみに一番上の写真は黎明教会資料研修館から見た如意ヶ岳大文字の写真。たしかココは研修会場になっていた気がしますが、送り火あたりに入れたらナイスなんですけどね。無理か。







一応夏の期間も開館されているので【駒井家住宅→白沙村荘 橋本関雪記念館→黎明教会資料研修館】というルートも結構アリではないかと思います。美術好きならですけど。



【黎明教会資料研修館公式】  


Posted by ハシモトシンジ at 05:18Comments(0)